9月30日、米商品先物取引委員会(CFTC)が暗号資産先物・現物を提供していたDeFiプラットフォームDigitexと、その創設者Adam Todd氏を商品取引法(CEA)違反で起訴したことが明らかになりました。
CFTCがフロリダ州南部地区の地方裁判所に提出した訴状には、Todd氏が「違法なデジタル資産デリバティブ取引プラットフォームを所有、構築、運営」していたとされる記述があります。
また、事業運営に必要な先物取引業者としてのライセンスを登録することなき、顧客身元確認(KYC)などの実施を含む銀行機密保護法の要件に従っていなかったと付け加えました。さらにTodd氏が取引所のネイティブ・トークンであるDGTXの価格を第3者の取引所で吊り上げて価格操作しようとしたのではないかと捜査を進めているということです。
CFTCは罰金および法律違反の影響を受けたすべてのユーザーと投資家へ資金を完全に返済することを目的にしています。また、裁判官が取引所を閉鎖するよう裁定することも望んでいるということです。具体的には、DigitexとTodd氏が取引を継続することを禁止することや、商品とみなされるデジタル資産に関する取引、コモディティの売買を目的とした資金の受領などの停止も求めています。
相次ぐDeFiへの法的措置
9月22日にもCFTCは暗号資産レバレッジ取引を提供していたDeFiプラットフォームbZeroXおよびその創設者、また関連するDAO(自律分散型組織)に対する訴訟を起こしています。この件でも「先物取引業者としてライセンス登録することなく、暗号資産のレバレッジ・マージン付き商品取引を提供していた」と申し立てており、今回の訴状と似た記述がありました。
なおこの際、CFTC執行部門長代理のグレチェン・ロウ氏は「急速に発展するDeFi環境において、顧客を保護するための幅広い取り組みの一環」だと説明していました。
Willkie Farr&Gallagher法律事務所のMichael Selig弁護士はDigitexに対するCFTCの動きについて「CFTCが取引プラットフォームだけでなく、リテール暗号資産トレーダーにマージンや融資を提供する仲介事業者も取り締まり対象とする姿勢を示している。」とコメントしています。
CFTCとSEC
CFTCは米国で商品取引所に上場する商品や金利、デリバティブ全般など、米国の先物取引市場を監督している機関です。暗号資産先物についても不正防止や虚偽報告などに関する権限を保持しています。
一方、規制機関としてはCFTCの他に、暗号資産などのデジタル資産を証券と定義して取り締まりを図るSEC(米証券取引委員会)が存在しています。現在、両機関の間で暗号資産について水面下の監督争いが続いている状況です。
そうした中、米SECのゲーリー・ゲンスラー委員長は9月、ビットコイン(BTC)など証券に分類されない暗号資産については権限をCFTCに付与することを支持する考えを示し話題を集めました。ただ、大半の暗号資産が証券と考えられるとの姿勢は崩しておらず、PoS銘柄の暗号資産も証券に該当する可能性が高いともコメントしています。
しかしCFTCのロスティン・べナム委員長は9月28日、CFTCが暗号資産の規制整備を主導すれば業界に大きなメリットがあり、投資家の流入によりビットコイン価格が倍増する可能性もあると主張しました。