大手NFT市場OpenSeaでインサイダー取引に該当する行為を行なったとして訴えられたNathaniel Chastain氏が、OpenSeaからの文書提出など3つの事項を求める申し立てを行ったことが明らかになりました。
事件の経緯
2022年6月、米司法省はOpenSeaの元従業員Chastain氏がインサイダー取引やマネロンを行っていた疑惑で訴訟を起こしています。
この訴状によるとChastain氏は2021年に、OpenSeaのプラットホーム上で特集されるNFTを選択する役割にあったといいます。この役割の中で対象となるNFTが掲載される前にそれらを多数購入し、掲載により値段が上がったところで売却して利益を得ていたという内容で訴訟を起こすに至りました。
Chastain氏側の弁護士は「NFTは証券でも商品でもないために今回の件はインサイダー取引の定義に該当しない。政府はデジタル資産分野での先例を設定するために根拠なく拙速な訴訟を起こした。」と主張しています。
3つの要求とは
今回Chastain氏側はまず1つ目の要求として、同氏が利益を上げるために利用したとされる情報がOpenSeaの「財産」とみなされるかどうかに関して、裁判所がOpenSeaから文書を取り寄せることを求めました。
同氏と他の従業員との間のメッセージやOpenSeaの機密保持ポリシーに言及した文書や通信をはじめ、OpenSeaと政府がやり取りした文書や通信、OpenSeaのCEOと共同創設者の文書や通信で同氏に言及したものなどの提出を希望している状況です。
OpenSeaの幹部がChastain氏のインサイダー疑惑に関する活動に気付いていたかどうかに関する文書も挙げています。
続いてChastain氏側は2つ目の要求について、訴状から「インサイダー取引」という言葉を削除することも求めています。この言葉は扇動的で、同氏が訴えられた件とは無関係であるとの旨が要求につながっています。また検察がこの言葉を使用することや法廷でこの言葉を使うことを禁じるよう裁判所に求めました。
またChastain氏側の弁護士は申立書で次のように主張している状況です。
訴状におけるこの用語の使用、および裁判におけるこの用語への言及は、法的な追及プロセスには貢献しない。これは、政府がメディアの関心を高め、陪審員を扇動するための手段に過ぎない。
今回の訴訟で検察側はインサイダー取引事件でよく用いられる証券詐欺法ではなく、電信詐欺法の下でChastain氏を訴えています。したがって検察はNFTが法律上の証券であるかどうかということを証明する必要はないとみられているところです。
検察はChastain氏にマネロンの他、OpenSeaの機密情報を盗んだという疑いを持っていることも明らかになりました。
最後に同氏側は3つ目にFBIが自宅を捜索した際に押収した証拠をすべて破棄することも求めたといいます。この要求の背景としては、捜査当局が不当な捜索や押収に対する法律などに違反したと主張しています。
この申し立てによると2021年9月にFBIが自宅を捜査した際、捜査官はChastain氏の電子機器の一部を押収していました。その際にもFBI捜査官はChastain氏に携帯電話のパスワードを尋ねていたが、これは「違法な尋問」である主張しています。
さらにFBIはChastain氏の携帯電話にアクセスする権限について偽りを伝え、Chastain氏の権利を伝えることもなかったと報告しています。Chastain氏は以上のような理由を挙げて、家宅捜査の際に同氏が行った発言や携帯電話から収集した証拠を裁判で使わないように求めました。