KYCとeKYCって何?<初心者向け記事>

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こちらは暗号資産初心者向けの記事です。本記事ではKYCとeKYCについてわかりやすく解説していきます。

KYCって何?

「KYC」(ケーワイシー)とは「Know Your Customer」の略称で、金融サービスなどを提供する事業者が顧客の身元を特定し、身元確認のために取られる手続きを意味しています。一般的に個人顧客向けサービスにおいては、運転免許証やマイナンバーカードのような本人確認書類を用いた住所確認も行われています。なおKYCは「CDD」(Customer Due Diligence)とほぼ同じ意味で使われる場合もあるため覚えておくと良いでしょう。

KYCとeKYCは何が違う?

上記で述べたように、KYCとは身元確認のために取られる手続きのことであると説明を行いました。では次はKYCとeKYCでは何が違うのか見ていきましょう!

eKYCとは(イー・ケー・ワイ・シー)「electronic Know Your Customer」の略称となっています。直訳すると『電子的に顧客を知る』という意味になります。
もともと「KYC」という言葉自体は銀行口座開設などで必要になる本人確認手続きの総称として使われていました。その言葉に「electronic」が付くことによって「オンラインでの本人確認」という意味になります。

このようにKYCとeKYCではオンラインでの身元確認か否かという違いになっています。

eKYCの利用シーン・メリット

ではこのeKYCはどのような時に利用されるのでしょうか?前の部分でも触れた銀行口座の開設やクレジットカードを発行する時暗号資産取引所利用の際に使用されることが多くなっています。

通常のKYCの場合、銀行口座の開設やクレジットカードを発行する際に手間と時間がかかってしまいます。また申請自体はオンライン上でできたとしても、結局本人確認のため身分証明書の写しが必要不可欠です。
さらに、郵送で写しを送るだけでなく申込者宛に送られてくる書類を受け取ることで本人確認が完了する手順になるため面倒な手順を何度も行わなければならない形となっていました。

また本人確認で郵送などが間に入ることによって、実際にサービスを受けられるのは数日後になってしまうことから、サービスを提供する側にとってもデメリットであるとともに、タイムロスすることで本人確認が進まず実質的なユーザー獲得になりづらいケースも問題視されてきました。

こういったオンラインのみで完結することで手間や時間を軽減ことが「eKYC」の大きなメリットです。

eKYCの種類

eKYCには大きく分けて「ブラウザ型」「アプリ型」があります。

「ブラウザ型」は自社のホームページなどからアクセスすることで、ブラウザ上で本人確認を行う形式となっています。この場合では自社サイトとeKYCのシステムを連携する必要があります。

「アプリ型」は本人確認をするためのアプリをダウンロードし、アプリ側で本人確認を行う形式となっています。この場合では自社サイトにはアプリをダウンロードできるリンクを張っておく必要があるだけで、連携なども必要なくアプリ側だけで処理できる点がメリットとなっています。
しかし、本人確認する側はアプリをダウンロードしなくてはいけないという手間が発生しますので注意が必要です。

eKYCの導入例

では次にeKYCをすでに導入している企業について見ていきましょう!

LINE Pay

「LINE Pay」では2種類の身元確認方法が用意されています。1つ目は本人名義の銀行口座を登録する「銀行口座での本人確認」です。もう1つは顔と身分証が一緒に写った写真をアップロードする「スマホでかんたん本人確認」です。どちらの方法でも最短で数分で確認が完了することができます。

メルペイ

登録できる銀行口座がない時に「アプリでかんたん本人確認」で各種サービス申込に必要な本人確認を簡単に行える仕組みがメルペイで導入されています。これは上記で述べたアプリ型に確認方法となっています。

まとめ

本記事ではKYCとeKYCについて解説してきました。

特定事業者に対するKYCの義務は犯罪収益移転防止法によって定められており、銀行などの金融機関と同様に暗号資産交換業者についても例外ではありません。本人確認書類の提出や、自身の容貌を撮影して送信するのは面倒だと感じるかもしれませんが、KYCによって犯罪リスクを低下させられるのです。これは、安全な暗号資産取引につながっています。

皆さんも暗号資産取引を開始する際にはKYCを利用し、犯罪リスクの軽減に努めましょう!