暗号資産の冬と呼ばれる弱気相場が相次ぐ中、金融サービスをはじめとする大手企業が立て続けに暗号資産やNFT、メタバース関連の登録商標の申請を行なっている現状があります。
直近の事例を見てみると米決済大手のVisaは10月22日、米国特許商標庁(USPTO)に2件の申請を提出したことを明らかにしました。国際送金大手のWesternUnionもまた18日、暗号資産の換金と送金や取引と仲介業務に関する3件を申請しています。さらに個人間決済大手のPayPalも同日、独自の暗号資産ウォレットのソフトウェアに関する申請を提出したことを発表し話題となりました。
PayPalではビットコイン、イーサリアム、ビットコインキャッシュ、ライトコインの売買が可能になっており、今年6月には暗号資産サービスに新機能を実装したことで、外部ウォレットへの入出金が可能になっています。
食品業界でも同じ動き
10月には複数の大手食品会社が、メタバースやNFT関連の商標登録を申請している状況です。
米デルモンテ社同月5日、8件の商標登録を申請しました。NFTとNFT関連メディア、オンラインのバーチャル市場、バーチャルレストランやショップ、食品や飲料などが対象となっています。
米クラフトフーズ社は12日、ホットドッグを模した自動車「ウィンナーモービル」を商標登録申請し、NFTとデジタルトークン・NFT市場・バーチャルフードドリンク・レストランの展開を目指す旨を明らかにしました。加えてNFTやバーチャルグッズのオンライン販売なども視野に入れている模様です。
さらに米国で人気のハンバーガーチェーンIn-N-Out BurgersもNFTやデジタルトークンの導入、バーチャルフードやドリンク、バーチャルグッズの販売など対象に、USPTOに商標登録を申請していました。
酒造メーカーを見てみると高級アルコールブランドMoët Hennessyが9月23日、ドンペリニョンとMoet、Moet & Chandonの名称に関して、NFT及びメタバース関連の商標登録を5件申請したことも明らかになっています。
しかし、申請をしているのは企業だけではなく、有名ブランドや著名人も同様です。モータースポーツのフォーミュラワン(F1)や楽器メーカーのフェンダー、個人では歌手のChristina AguileraやLIZZOがNFTやバーチャルグッズの販売などを対象にした商標登録を行ったことで注目を集めました。
今年の累計申請件数
商標法の専門家であるMichael Konfoudis弁護士は、NFT・暗号資産・メタバース分野における米国特許商標庁への商標申請件数を月毎にまとめて発表しています。
Konfoudis氏が公開したデータによると、NFT及びNFT関連商品・サービスを対象とした商標登録申請件数は、9月末までで6,366件となっており、2021年の2142件から約3倍と劇的に増加したことがわかります。さらにメタバースとバーチャル商品・サービスに関する申請は4,168件で、1,890件だった昨年の2.2倍となり、デジタル通貨及び暗号資産では4,317件で昨年の3,547件から約21%増加しました。