CoinPost提携メディアのThe Blockが、アニメアート系NFT「Azuki」の発行元Chiru Labsについて、シリーズAの資金調達ラウンドで約42億円を調達する予定であることを報じていました。
Azukiはロサンゼルスを拠点とする4人の匿名メンバーがメタバース構築を目指して立ち上げたブランドで、時価総額は約111,500ETHとなっており、日本円に換算すると約1億5,000万円にもなります。
The Blockは資金調達の情報を4人の関係筋から得たと説明し、そのうち1人からは資金はすでに大部分の調達に成功したという旨も報じました。また調達後にはChiru Labsの評価額は約420億円から約570億円になるとコメントしています。もう1人の情報筋では「(資金調達の)詳細はまもなく決定する」との情報を得たということです。
資金調達の情勢について
今回の資金調達の情報はNFTコレクションDoodlesがベンチャーキャピタル(VC)「766」の主導で、約76億円を調達した1週間後に明らかになりました。
現在の市場状況でもブルーチップNFTは堅実に資金を集めており、Moonbirdsは8月末に著名VCのa16z主導で、約71億円を調達しています。
Bored Ape Yacht Club運営のYuga Labsは、3月に同VCが主導する資金調達ラウンドで約640億円の調達に成功したことで話題となりました。
ラグプル疑惑も浮き彫りに
多額の資金調達が報じられたAzukiですが、2022年5月には格が大幅に下落するという苦い経験もしています。これはZagabond共同創設者が開発の途絶えているNFTプロジェクトに複数関与してきた経歴が浮き彫りになったためです。
同氏の行為はNFTコミュニティにラグプル(出口詐欺)を連想されるものとして受け取られ、その後不信感が広がった頃が原因であると言われています。ちなみにこのラグプルとは開発者が初期投資家を誘い込んでNFTを売りつけた後、プロジェクトを放棄したり、NFT販売で得た資金を持ち逃げする行為を指します。
当時、Azukiのフロアプライスは約19 ETH(600万円)でしたが、この問題の発覚後には10.5 ETH(320万円)まで下落しました。
批判を受けたZagabond氏は本人は最終的に放棄していたプロジェクトのコミュニティと向き合い、解決策を導き出すことを約束しています。
NFT業界に進出する企業が増加
暗号資産の停滞に伴い、価格的には冷え込みが続いているNFT領域ですが、国内外の企業による参入や提携は依然として活発に行われています。
今年の9月13日には酒造メーカー大手の米ジャックダニエル社が、メタバースやNFTに関連する商標登録を米国特許商標庁(USPTO)に申請したことで話題となりました。またNFTのほか「オンライン上のバーチャル世界」での利用可能なグッズやデジタル・ウォレットに関する申請が確認されています。
同月の20日には、人気NFTコレクションOkay Bearsがリテール領域への参入を目的に米国のエンターテイメント・ライセンス企業IMGと提携しています。