暗号資産初心者向けの記事です。本記事ではBIPについてわかりやすく解説していきます。
はじめに
今回はブロックチェーン技術を誕生させた暗号資産ビットコインのBIPという用語について見ていきたいと思います。
ビットコインについて調べていると、「BIP100 , BIP101 …」などという言葉を見かける事があるのではないでしょうか。それではBIPとは何なのか、本記事で解説していきます。
BIPとは
ビットコインでは、コミュニティからの意見によってロードマップが決まります。これをBIP(Bitcoin Improvement Proposals)と呼ぶとともに、ビットコインにおける改善提案を意味します。
この改善提案は基本的に全ての分散型プロジェクトに存在するものとなっており、イーサリアムの場合はEIPと呼ばれています。つまり、改善提案の仕組みが存在しないものは分散型プロジェクトとはいえないということになります。
コミュニティからBIPが提出されるとコア開発者と呼ばれる人々が提案に対して議論を始めるのが一般的なプロセスです。この議論で優れた提案であると判断された場合は、ビットコインのGitHubを通してコードの監査という過程に進みます。そして監査を経て実際に承認されるにはコア開発者たちの多数決による投票が必要となっています。なおコア開発者たちもまた、コミュニティによって選出されていますので覚えておくといいでしょう。
この時、中心となって議論の旗を振る役割を持つ人物は特に存在しません。したがって1つのBIPについての議論は非常に長くなることが多くなっています。分散型プロジェクトは、特定の権力者による恣意性の影響を受けないものの、中心となる人物がいないことが意思決定の遅さが短所となってしまいます。
実際にビットコインが動き始めて既に10年が経過している現在も、正式に承認されたBIPは30以下です。また、その中には現在進行形で議論されているものも存在するため、いかに意思決定が難しい運営組織なのかがわかるでしょう。
BIPの種類
みなさんがよく目にする、BIP〇〇〇というのはビットコインシステム改善提案の番号を表しています。またその番号がどのような提案を指しているものなのかが一目で分かるものでもあります。中には提案だけでなく、システムの決まり事を表しているものも存在し、現在までに100個以上のBIPが提案されています。
現時点でBIPのタイプは「Standards(標準)」「Informational(情報)」「Process(プロセス)」の3種類です。Standardsはネットワーク・プロトコル・ブロックサイズ・トランザクション承認方法といったデータのやり取りの変更に関するBIPです。
Informationalはシステムのデザイン設計やガイドラインに関してのもので、新たな変更を提案しているものではなく、コミュニティによるコンセンサスは必要ありません。
ProcessはBIPに関するプロセスの変更を説明・提案するものであり、ビットコインプロトコルの外側に関するものです。割合としてはStandardsが6~7割・Informatinalが3~4割・Processが少数で存在しています。
BIPのワークフロー
ビットコインコミュニティには特定の旗振り役は存在しないものの、BIPが承認されてから実際に開発が完了するまでは提出者が責任を持ってその後の対応を進めるルールとなっています。
そのため提出されたBIPが全てコミュニティにおける議論の場に上がる訳ではありません。まずはメーリングリストに投稿し、そこで簡単な審査が行われます。審査を通過した場合のみ、正式にBIPとして議論が始まるのです。
しかし議論が始まった後も下図のように承認と却下を繰り返すことが多くなっています。ビットコインは、1度変更を加えるとブロックチェーンの性質上元に戻すことが容易ではありません。そのため、事前に何度も議論を重ねる必要があるのです。
(引用元:Blockchain Biz)
最後に
本記事ではビットコインのBIPについて解説をしてきました。いかがでしたか?
ビットコインのシステムや仕組みについても知識量を豊富にすることは正しい暗号資産の理解に繋がります。本記事で紹介しきれなかった、まだまだ多くのBIPがあるため、興味がある人は是非調べてみましょう。