目次
暗号資産の税金の仕組みとは
税金の区分
税金の支払いは日本人として国を支える重要な義務です。税金は様々な種類があり、対象ごとにそれぞれ異なる税金を支払う必要があります。
改正資金決済法により2017年、暗号資産が法律で定められましたが、暗号資産に関する定義が法律上明らかになった訳ではなく、税金の支払いに関しても確定していない箇所が依然として残っています。
国政省によると暗号資産で利益を得た場合は、所得税の課税対象となります。
所得税とは
所得税とは、会社などからの給与である「収入」に応じて支払う税金のことです。
暗号資産による利益もこの「収入」として見做されるため、暗号資産取引の利益に所得税が発生します。 また、所得税は10つの種類に分けられます。
利子所得 | 預貯金や公社債の利子等 |
---|---|
配当所得 | 株主や出資者が法人から受ける配当や、投資信託 |
不動産所得 | 土地や建物などの不動産や、船舶、航空機の貸付けによる所得 |
事業所得 | 事業から生ずる所得 |
給与所得 | 勤務先から受ける給料、賞与 |
退職所得 | 退職により勤務先から受ける退職手当や一時金 |
山林所得 | 山林を譲渡することによって生ずる所得 |
譲渡所得 | 土地、建物、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得 |
一時所得 | 上記の所得のいずれの所得にも該当せず、かつ営利目的ではないもの(生命保険の一時金等) |
雑所得 | 上記の所得のいずれにも該当しない所得 |
2017年12月に国税庁が発表した「仮想通貨に関する所得計算方法等について」によると暗号資産取引で発生した利益は「雑所得」に分類されることが記載されてあります。
暗号資産にかかる税金の計算方法
10%や8%とある一定の税率が決まっている消費税とはとこなり、雑所得は総合課税と呼ばれ、他の所得と合算した総所得に応じて5%~45%の7段階の税率が設定されています。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
20万円以上195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え330万円以下 | 10% | 9万7500円 |
330万円を超え695万円以下 | 20% | 42万7500円 |
695万円を超え900万円以下 | 23% | 63万6000円 |
900万円を超え1800万円以下 | 33% | 153万6000円 |
1800万円を超え4000万円以下 | 40% | 279万6000円 |
4000万円超 | 45% | 479万6000円 |
例) 給与所得が300万円で、暗号資産による雑所得が200万円だった場合
300+200=700
330万円を超え695万円以下の区分に当てはまるため、税率は20%となります。
給与所得計算式は以下の通りになります。
500×税率20%-42万7500円(免除額)=57万2,500円
よって、給与所得が300万円で、暗号資産による雑所得が200万円だった場合支払わなくてはならない所得税は57万2,500円となります。
また、所得材は次年度の住民税の基礎となるため、所得が増えることで次年度の所得税の負担額も増加します。つまり、暗号資産にかかる税金を考える時は、所得税だけでなく住民税についても考える必要があるということです。
暗号資産の所得計算方法
暗号資産の所得は売値から買値を引いて計算します。
つまり、1BTC=20万円の時に1BTCを購入し、1BTC=30万円の時に1BTC売却した時は、 30万円-20万円=10万円 となるため、所得額は10万円です。
・複数回同じ通貨を購入した場合
1BTC=20万円の時に1BTC、1BTC=30万円の時にさらに1BTC買い増ししその後1BTC売却したとき、所得計算に用いる所得単位が20万円か30万円迷いますよね?
<例>
所得額1: 20万円(1BTC=20万円のときに1BTC購入)
所得2: 30万円(1BTC=30万円のときに1BTC購入)
売却額: 40万円(1BTC=40万円のときに1BTC売却)
所得額:?
2017年12月に国税庁が発表した「仮想通貨に関する所得の計算方法等について」では同一の仮想通貨を2回以上取得した場合の取得金額の算出方法については、移動平均法を用いることが推奨されており、場合によっては総平均法を用いてもよいとされています。
移動平均法
移動平均方とは、暗号資産を購入するごとに取得平均単位を計算する方法で、収入を取得する度に取得単位が変化することが特徴です。
<例>
レートと購入数量 | 取得単価 | |
1回目の取得 | 1BTC=10万円で1BTC購入 | 10万円 |
---|---|---|
2回目の取得 | 1BTC=20万円で1BTC購入 | 15万円((10万円+20万円)÷2BTC) |
3回目の取得 | 1BTC=30万円で1BTC購入 | 60万円((10万円+20万円+30万円)÷3BTC) |
1回目の取得時は取得単価を計算する必要がありませんが、2回目以降は取得を得るたびに取得単価を計算する必要があります。
総平均法
総平均法とは、1年間分の取得単価まとめて計算する方法で、1年間の取得単価は全て同じとなります。 購入金額の合計と、購入した中華の数量から取得単価を求め、計算された単価をもとに所得額を計算します。
1回目 | 1BTC=10万円で1BTC購入 |
---|---|
2回目 | 1BTC=20万円で1BTC購入 |
3回目 | 1BTC=30万円で1BTC購入 |
1年間分 | 3BTC取得するのに60万円(10万円+20万円+30万円)支払った |
取得単価 | 30万円(180万円÷3BTC) |
暗号資産の税金対策方法
利確せず保持し続ける
暗号資産取引において、暗号資産を日本円に変えた時点で利益が確定となり、所得税の対象となります。つまり、保有している暗号資産の価格がいくら高騰しても日本円に換金しない限り課税対象にならないということです。
しかし、一度日本円に換金し、違う種類の暗号資産を購入しても換金した分の税金が課せられるため気をつける必要があります。また、換金以外でも、商品やサービスの購入を暗号資産で決算した場合の課税対象となるため注意が必要です。
個人事業主として経費計上する(白色申告)
会社員をしつつ副業程度に暗号資産取引で利益を出している方におすすめの方法です。この方法は、暗号資産取引の際発生した費用を経費として計上できる方法で、経費の上限もありません。
トレードの勉強のために購入した本やセミナーの代金、情報交換のための食事会なども交際費として経費計上することが可能です。
確定申告の際「収支内訳書」を提出することにより、白色申告をすることができ、10万円の所得控除を受けることができます。
個人事業主として経費計上する(青色申告)
白色申告をし、個人事業主になる方副業程度の収入を得ていない人にお勧めでした。しかし、暗号資産取引での収入が副業ではなく、一事業として呼べるほど大きくなった時、こちらの青色申告がお勧めです。
青色申告で、暗号資産取引による収入を経費と計上するためには「事業所得」として認められる必要があります。つまり、生活に十分な収入を得ているのか、毎日仕事として継続できており、会社員と同じくらいの時間的拘束があるかどうかなどです。
副業程度の利益では事業所得と認められない場合が多くあります。事業所得として認められない副収入程度の収入の場合「雑所得」として扱われてしまうため、収入に応じた税金が課せられてしまします。そのため、ある程度暗号資産取引で生計を立てられるようになった時に青色申告を検討すると良いでしょう。
しかし、事業所得として認められると65万円の所得控除を受けることが可能です。ある程度の収入が得られた場合、税務署で開業届と青色申告申請書を提出し、申請して見てください。
含み損を確定する
こちらの方法は損益を圧縮し、課税額を減らすという方法です。つまり、利益は
「収益 – 損失 = 利益」
のように計算されますが、この損失の部分を大きくすることにより課税額を減らすという方法です。
全体の実現損益がプラスの時、含み損のある暗号資産を保有している場合は、その暗号資産を一度売却し損失を出すことにより全体の実現損益を低くすることが可能です。
反対に、全体の実現損益がマイナスの時、含み益のある暗号資産を保存している場合は、その暗号資産を売却して利益を出すことにより全体の実現の実現損益を低く抑えることが可能です。
ただし、含み損益を圧縮できる場合は、
- 実現損益がプラスで、含み損益がマイナスの通貨が1つでもある場合
- 実現損益がで、含み損益がプラスの通貨が1つでもある場合
に限ります。
- 実現損益がプラスで、保有しているすべての通貨の含み損益がプラスの場合
- 実現損益がマイナスで、保有しているすべての通貨の含み損益がマイナスの場合
のときは含み損益を圧縮できないためご注意ください。
法人登記する
法人登記をすることにより、最大税率が30%と個人の場合より税率を低く抑えることが可能です。
法人登記をすれば、最大9年間赤字になっても繰り越すことが可能です。また、家族を役員として登録すると、役員報酬として、利益を支払うことにより税金を抑えることも可能です。
さらに、家賃を社宅扱いとし、水道・光熱費・通信費など日常的なものも経費として計上することもできます。
しかし、法人登記には20万円程度の諸費用がかかり、樹里までも時間がかかってしまいます。また、赤字であったとしても法人税を納付しなくてはなりません。
法人登記は数百蔓延の資金と暗号資産取引に運用できるようになってから考え始まると良いでしょう。
ふるさと納税を活用
ふるさと納税は自身が選んだ自治体に寄付し、その謝礼として返礼品をもらえる制度です。
自治体に寄付を行うため、支払わなくてはいけない税金の支払い先が変わるだけで支払う税金の額が低くなるわけではありません。
しかし、ふるさと納税では寄付を行った自治体から返礼品を受け取ることができるため、ほぼ同じ税金を支払って返礼品を受け取ることができます。
確定申告の前に行っておくこと
確定申告を行う前にはしっかりと準備を行うことが必要です。
年内に利用した暗号資産取引所・ウォレットの取引履歴を取得しておきましょう。取引所によって履歴オン取得を1ヵ月分しかできない場合や、取引所が突然閉鎖し取引履歴の取得できなくなると言った予想外のことが起こること可能性があります。
暗号資産の損益計算には取引履歴が1つでもかけていると正確な損益計算は困難になってしまうという特徴があります。また、国内取引所の履歴は国税庁も把握可能なため、詳細のつかめない取引履歴がある場合、財務調査が入る可能性があります。
正確な取引履歴を把握するために取引履歴を定期的にダウンロードし不測の事態に備えましょう。