Magic Eden：運営体制について一部の開発者やユーザーの間で批判の声が増加

ソラナ基盤の主要なNFT市場Magic Edenについて運営体制が中央集権的になっていることから、一部の開発者やユーザーの間で批判の声が多くなっています。

2021年9月の設立から1年足らずの間に2次流通の累計取引高だけで約2,500億円を突破したMagic Edenは、ソラナ NFT市場の日次取引量の95%以上を占めており、その評価額は2022年6月時点で2,200億円に拡大していました。

今回の問題の発端はMagic Edenがスマートコントラクトを変更したことから始まっています。最近になってユーザーがNFTを出品する際にプラットフォームのスマートコントラクトがNFTを預かるエスクローの仕組みを導入したのです。これによりNFTを外部に持ち出すにはユーザーとMagic Edenのダブル署名が必要となりました。

エスクロー型のリスクとしてはサービスが突然閉鎖したり、コードの脆弱性が攻撃されたり、運営側の秘密鍵が漏洩した場合にユーザーのNFTがロックされる恐れがあることなど複数確認されています。Magic Edenのコントラクトはオープン化されていないため運営側を信頼する必要があり、ユーザーが自分のデータの所有権を管理するWeb3の精神とも逆行している状況なのです。

世界最大のNFT市場であるOpenSeaをはじめ、Hyperspace等のソラナに最近進出したプロジェクトにエスクローはなく、ユーザーがNFTを出品しても所有権はユーザーの手元のウォレットに存在する形をとっています。

今回の批判について、Magic EdenのSidney Zhang最高技術責任者（CTO）は指摘を認め、将来的にエスクローレスモデルに移行したいとコメントを発表しました。しかし「現状の他のマーケットプレイスが使用しているエスクローレスモデルではセキュリティが十分ではない。」とも加えています。

2022年1月にはイーサリアム上のNFT大手市場OpenSeaでバグが悪用され、市場価格よりも大幅に安い値段でNFTが購入されると言う事件がありました。その後攻撃者がNFTを市場価格で売却して計100万ドル相当の利益を得ています。

セキュリティ重視に

今回と同様の指摘は6月にも確認されていたものの、特にNFTデータ分析ツールの開発者PlandがMagic EdenはもうパーミッションレスなdAppsではないと批判したツイートにより今回はコミュニティ間で疑念が高まり大きな騒動となりました。

この変更によりソラナエコシステムの開発者にも影響が出ています。複数のNFT市場を横断的に利用できるCoralCubeのようなアグリゲーションツールを含むサードパーティ製アプリが、Magic Edenにパーミッションレスに接続して売買することが不可能になったのです。

現在Magic EdenでのNFTの売買にはエンドユーザーの署名とMagic Edenが提供するAPIキーの署名の2つが必要になったことは上記でも紹介した通りです。これについてZhou氏は以下のように述べています。

この変更は当サイトの信頼性を維持し、ユーザーの出品と取引を危険に晒すボットを弱体化するために導入された。我々のAPIプログラムに参加するエコシステムのみを受け入れている。

同氏によるとこうした動きはSolanaウォレットPhantomを筆頭とするパートナー開発者からの要望もあるといいます。既に300以上のAPIキーをウォレットアプリを含む開発者に配布したと同氏は加えました。

開発者の見解とは？

しかし、NFTの競争環境が激化する中でMagic Edenが流動性を独占するために囲い込み戦略を取っていると見る開発者も存在しています。今回のAPI導入を巡ってはMagic Edenがサードパーティ開発者に脅迫とも取れるような交渉を進めているとの匿名情報も見受けられました。

特にMagic Edenは自前でチャートやレアリティデータなどの分析ソリューションを数多く設置しています。これにより、ユーザーに対してサードパーティー製のサービスを使わせないようにしているという穿った見方もできるのです。

Magic EdenはNFTのワンストップ発行プラットフォームLaunchpadを21年12月の早期に導入して急速にソラナNFT市場を席巻したものの、現在はYawww、Coral、Hyperspaceなどの新しい競合が次々と出てきている状況です。また競合達は新たなインセンティブを設け、それぞれがクリエイターの誘致戦略を強化しているため、発展が早ければ衰退もまた早いとインフルエンサーのTopo Gigioは以下のように指摘しました。