Galaxy Digital:NFTの所有権についての見解を明らかに

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米大手暗号資産投資企業Galaxy Digitalのリサーチ部門は「多くのNFTプロジェクトが他の誰も所有できない、唯一無二のデジタルコレクティブルを販売する。」と掲げていることについて、適切ではないとの見解を明らかにしました。

NFTの所有権を得るにはNFTの知的財産権(IP)を譲渡する必要があることから、IP権を購入者に適切に譲渡するフレームワークが欠如していると既存のNFT市場を批判した形です。

8月18日に発行された「NFTライセンスに関する調査レポート」を見てみると、市場で人気を博しているNFTコレクションのほとんどは知的財産権を保持するアートの『ライセンス』をユーザーに供与している状態に過ぎないといいます。また発行側プロジェクトが知的財産を第3者に売却したり買収された場合は、ライセンスの内容が一方的に書き換えられる恐れがあるのです。

このような状態についてGalaxy Digitalは、ビッグテックに依存する従来のインターネットと変わることなく、産業の発展を妨げるとしてユーザーがデータを所有するWeb3型の枠組みの必要性を強調しています。

NFTがオンラインからメタバースを超えて商業目的で広く利用されるようになるには、知的財産権の譲渡と移転のためのより耐久性のある枠組みが採用される必要があるのです。

NFT保有者の錯覚

今回発表されたレポートによると、多くのNFT購入者がNFTを購入するとそのNFTが指し示すコンテンツを所有できると信じていることが明らかになりました。しかし、Galaxy DigitalはトップクラスのNFTコレクションを発行する大半のプロジェクトは実際にはNFTというトークン保有者に所有権を与えていないと主張しているのです。

さらにこのような矛盾がユーザーが知的財産権やデジタル著作権に関する複雑な法的論拠に無知であるために生じていると指摘し、大手のYuga Labsを含む多くのNFT発行体がコンテンツの知的財産権についてユーザーに誤解を与えているとコメントしました。

レポートに記載されていた、NFTを買う時にユーザーが実際に取得するものは以下の2つとなっています。

  1. ERC-721標準に準拠したデジタル・トークン。トークンIDとコントラクトアドレスなど、ブロックチェーンに保存された特定のメタデータを含む。メタデータは画像ではなく、AWSやIPFSのようなオフチェーンに保存された画像の場所を指定する情報。
  2. ライセンス:画像を作成したNFTプロジェクトがNFTの所有者に発行するもの。NFTが指す画像を表示する権利を所有者に付与する。

続けてGalaxy Digitalは時価総額トップのNFTコレクションを分析して、ライセンス形態を以下4つに分類しました。

  • 商業的権利:購入者がアートワークを自由に収益化でき、上限はない。
  • 限定的商業権:購入者がアートワークを収益化できるが制約や上限がある。
  • 個人使用のみ:アートワークを収益化できない。展示権利も制限される。
  • クリエイティブ・コモンズ(CC0):いかなる権利も保有しない。

いずれにも結局は知的所有権(IP)が著作権者に紐づくことになるため、その内容は一方的に書き換えられる可能性があるということです。実際にYuga Labsは8月15日にCryptoPunksとMeebitsコレクションに関する新しいライセンス契約を発表しました。

また、著作権者が権利を放棄して使用に関する制限が一切ない「クリエイティブ・コモンズ(CC0)」も存在するものの、これはNFT所有者の所有権も放棄されることを意味します。つまりNFTを保有していない人が勝手なことをしても、止めることができない欠点があるのです。

NFTに欠如しているものとは

上記の解説の通り、NFTの性質は特定の画像を指すトークンとそれに紐づくライセンスで構成されています。NFT所有者にその画像に関する直接の所有権はなく、所有権を得るには画像の所有者とNFT保有者の間で、画像に関するNFT保有者の権利を規定する別の法的契約書が求められるのです。

現在、ほとんどの著作権譲渡は「IP譲渡契約」によって実施されており、これはLarva LabsがCryptoPunksやMeeBitsのIPをYuga Labsに売却した際に締結されたものと同じとなっています。

多くの場合、BAYCのようなレアなNFTコレクションを保有しているつもりでも、そのレアリティの実質的な所有者は「NFTを購入者ではなくNFTの発行者」となっています。この根拠に基づいて、Galaxyはライセンスの種類にかかわらず、著作権がない限り所有権は無いと主張しました。

コレクションの希少性を真に所有するためには、ライセンス権を持つデジタルトークンを所有するだけでは不十分と言えます。ライセンスはいつでも変更できるものであり、著作権がなければ自分のNFTに関連するアートを他人が表示するのを防ぐことさえできないのです。著作権者がライセンス条項で明示的に別段の定めをしない限り、著作権者だけがその権限を持っていることをあらためて主張されたのではないでしょうか。